マーシャルアイランドは、オーストラリアとハワイの中間、赤道の北、日付変更線の西に位置しています。この島々は主に環礁で構成され、「真珠の首飾り」とも呼ばれています。マーシャルアイランド全体の面積は181平方キロメートルで、小さな島々が連なっており、首都のマジュロ環礁でも総面積は10平方キロメートルほどです。ここに住む人々はミクロネシア系の民族で、主要な言語はマーシャル語と英語になります。
この豊かな自然に恵まれたマーシャルアイランドがオフショア法人設立として、多くの企業に選ばれる理由は、International Business Company(IBC)として法人の設立が可能である点が非常に大きな要素です。IBCとは、オフショアにある企業構造を指します。その主な事業は、会社を設立した法域以外で行われます。このオフショア法人の特徴として、法人の設立手続きが簡素である点が挙げられます。法人を設立するプロセスが迅速かつスムーズであり、これにより企業は素早いビジネス展開が可能です。煩雑な手続きに時間を費やすことなく、事業を開始できる上に、ビジネス活動の自由度が高く、事務所やスタッフの雇用が不要、会社の決算や税務申告が不要であり、取締役会の開催義務もないという大きな特徴があります。また、国籍や居住国を問わず、個人でも法人格でも1名以上の株主と役員で設立できる点も魅力的です。ただ、法人を設立する際には、登記局への登記申請書類の作成や登記名簿の提出、手数料の支払い、設立契約書の作成など、さまざまな書類が必要です。しかし、会社運営上、決算報告の義務はないものの、法令に基づいた会計記録の保管は必要です。マーシャルアイランドではこれらに関して、法令を順守することが重要となり、これらのプロセスにおいて、専門家のサポートやアドバイスが不可欠となるでしょう。法的・税務・規制の複雑性や独自の要件に対処するためには、やはり専門的な支援が重要となります。
また、マーシャルアイランドでは、オフショア法人としてNRDC(非居住外国法人)登録ができます。NRDC登録にはメリットがあり、まず第一に、この登録を選択することで企業は国外でのビジネス展開が可能となります。マーシャルアイランドに拘束されず、高い柔軟性を享受できるのが大きな利点です。さらに、税制上のメリットも挙げられます。通常、他の国では法人税がかかり、企業はその利益から一定の割合を税金として納める必要がありますが、NRDC登録したオフショア法人は地域外のビジネス活動で得た利益に対して法人税が非課税となります。これにより、企業は得た利益を最大限に享受でき、コスト削減や競争力の向上が期待できます。このようなメリットが、多くの企業にとってNRDC登録を魅力的な選択肢としている理由です。
マーシャルアイランドはプライバシー保護に力を入れており、この特徴は、企業がこの場所を選ぶ理由の一つです。株主や役員の情報が公にならないため、企業は高いプライバシーを確保できます。この非公開の仕組みにより、経営情報を慎重に管理することが可能で、企業は戦略や意思決定において安心感を得られます。また、マーシャルアイランドではノミニー制度を利用できます。ノミニー制度は、実際の株主や役員の代わりに代理人(ノミニー)を指定できる仕組みであり、この代理人が公に登録されることで、実際の所有者の身元情報が非公開となります。もともとマーシャルアイランドでは情報が非公開とされているため、ノミニーの活用は必須ではありませんが、プライバシー保護を強固なものとするため、採用する企業も多くあります。このことから、プライバシー保護と情報の非公開が企業がマーシャルアイランドを選ぶ理由の大きなメリットとして挙げられます。
マーシャルアイランドでは地域外の法人所得に対して非課税であり、設立や会社の運営が比較的容易で、ビジネス活動において高い柔軟性が確保されています。また、プライバシー保護にも力を入れています。これらのメリットが組み合わさり、企業にとって魅力的な選択肢となって、多くの企業がマーシャルアイランドでのオフショア法人設立を選択しています。