オフショア法人とは、自国以外の国や地域に設立する法人のことです。オフショア法人は節税対策や海外進出、資産保護など、様々な目的で注目されています。しかし、メリットだけでなくデメリットも存在するため、利用を検討する際には慎重な判断が必要です。
オフショア法人のデメリットは、例えば日本では、タックスヘイブンに関する特別税制があり、必ずしも節税効果が得られるわけではありません。また、過去には脱税などに利用されるケースがあり、 個人または企業の信用やブランド価値を下げ、損失に繋がるリスクがあります。
しかし、オフショア法人にはデメリットを補って余りあるメリットが存在します。多くのオフショア法人は、タックスヘイブンと呼ばれる国や地域で設立されます。タックスヘイブンでは、設立や継続に関する手続きが簡素化されていることに加えて、会社の構造、資本金、取締役と株主の数など、多くの面で規制が緩やかです。このことから、設立時の負担が軽くなっており、法人の継続に必要な要件が少なく、長期的な運営がしやすい環境が用意されています。また、セキュリティーの面で規制が厳格化されているため、取締役や株主の情報を開示する必要がないことから、プライバシー保護に役立ちます。
さらに、タックスヘイブンでは法人税や所得税などの税率が非常に低い、または非課税であるため、オフショア法人は節税ができ、その利益を最大限活用することが可能になり、競争力のさらなる向上が見込めます。これは、数あるメリットの中でも、一番大きなメリットと言えます。特に、キャピタルゲインについては非課税であることが、タックスヘイブンでは多く採用されています。キャピタルゲインとは、株式や債券、仮想通貨などの資産を売却することで得られる売買差益であり、譲渡所得や値上がり益とも呼ばれます。
ただし、同じキャピタルゲインでも、日本においては、株やFXと仮想通貨のそれでは、課税に大きな差があります。投資の場合、リスクを取りながら複利で資産を増やしていくのが常套手段だと考えられますが、課税が大きな足枷になっていますし、仮想通貨では尚のこと資産の成長スピードは遅くなります。
仮想通貨によるキャピタルゲインで、その利益を最大限享受するためには、いろいろな対策をとる必要が出てきます。例えば、個人の場合で、仮想通貨などでの含み益が1,000万円以下などの少額なら、キャピタルゲイン税が非課税になるタックスヘイブンと呼ばれる国や地域に拠点を移し、海外在住で日本非居住者になれば、日本への納税義務はゼロになります。具体的に言えば、年の半分以上を海外で過ごしている場合、課税割合が高い仮想通貨での売却益だとしても、日本への納税義務はなくなり、多いに節税できます。デメリットとしては、海外に拠点を設けるため、2拠点生活になり、維持コストと拠点間の渡航コストが必要になります。
さらに、仮想通貨で多額の含み益、利益をあげている投資家に限らず、キャピタルゲインを得ることを主な目的とした事業としている投資家については、さらにオフショア法人を組み合わせることで、節税につながります。日本から生活拠点を移し、法人税率が非課税であるタックスヘイブンと呼ばれる国や地域にオフショア法人を設立することで、他の税も含め、支払うべき税金が限りなく少なくなります。オフショア法人は、会計書類の保存が義務としてあっても、決算や会計監査がないので、節税により失われなかった資産がそのまま次の投資につながり、資産の成長スピードを早めることが可能になります。
個人で行う事業として、株やFXなどの投資については非課税でも、仮想通貨に対しては所得税の対象になる国や地域もあります。また、日本から海外に拠点を移す場合に仮想通貨も含め、多額の含み益がある人には、出国税(国外転出時課税)が課せられます。これらに対して対策を取らなかったり、仮想通貨の売却益、含み益を含めた課税に関する情報の変化についていけず、本来であれば節税できたお金を損しないためにも、各国、地域の情報について精通し、またそれら情報の変化について敏感な専門家であったり、税務や法務についての専門家の存在は非常に重要です。