オフショア法人の銀行口座開設と自己破産に関する問題について、多くの人が関心を持っています。中でも特に自己破産者がオフショア法人を設立し、銀行口座を開設することが可能かどうかは、重要なポイントです。
ここでいうオフショア法人とは、自国以外の地域、特にタックスヘイブンと呼ばれる国、地域に設立される法人を指します。タックスヘイブンは、税率が低い、もしくは非課税の国や地域で、法人設立が比較的簡単であるため、多くの企業や個人が利用しています。このようなタックスヘイブンと言われる地域で設立されたオフショア法人は、税金の軽減や資産保護を目的としています。オフショア法人を設立する際、銀行口座がなければ、資金の管理や取引ができないため、銀行口座開設は不可欠です。銀行口座開設手続きは、法人設立後に行われます。必要な書類としては、法人登記証明書、株主名簿、取締役名簿、パスポートコピー、住所証明などがあります。
次に、自己破産は、債務者が裁判所に対して破産の申し立てを行い、裁判所がそれを認めた場合に、債務者の財産が債権者に分配され、残りの債務が免除される制度です。この手続きは、債務者が返済能力を完全に失っていることを証明する必要があります。自己破産が認められると、債務者は借金から解放されますが、その後一定期間の間、様々な制限が課せられます。自己破産宣告後には、一定期間の間、一定の職業や行為が制限されます。例えば、弁護士や税理士などの資格職は、自己破産後にその資格を維持することが難しくなります。また、会社の取締役や役員になることも制限される場合があります。これらの制限は、自己破産者が再び経済的な責任を果たせるようになるまでの間、社会的な信用を回復するための措置として設けられています。自己破産者がオフショア法人を設立することが可能である理由は、タックスヘイブンの法的環境にあります。日本の法的制限は、日本国内においてのみ適用されるため、海外のタックスヘイブンには及びません。したがって、自己破産者であっても、タックスヘイブンにおいてオフショア法人を設立し、運営することは可能です。そして、日本における自己破産した企業や個人が設立したオフショア法人の銀行口座開設ですが、こちらも口座開設は可能です。ただ、注意すべき点があり、それは、自己破産者が新たに資産を隠すためにオフショア法人を利用することは、日本における法律違反となる可能性です。日本の裁判所が資産隠しと判断した場合、重大な法的な制裁が科されることがあります。
これらはCRSという制度によって開示、発覚されるケースが考えられます。CRSとは、経済協力開発機構(OECD)を中心として、国境を越え金融口座情報の自動交換を行う国際的な制度であり、今では加盟する国や地域が非常に多くなっています。日本でも、タックスヘイブン特別税制を強化するなど、2017年に国内法を整備し、翌2018年からCRSに基づく情報交換を開始しています。具体的には、銀行口座の保有者(法人・個人を問わず)の情報、口座番号、預金残高、投資残高、その他、金融機関によって定められた銀行口座の情報について、加盟している国や地域に所属する金融機関は毎年9月までに自国の税務当局に報告しています。この情報は、参加国間の税務当局間で自動的に交換され、過度な租税回避の早期発見・防止に役立てられています。
従って、口座開設のためには、銀行選びが非常に重要な要素となってきます。そのためにも、オフショア法人設立から銀行口座開設、オフショア法人の運用までをサポートしてくれる専門家を頼ることが1番の近道であると言えます。逆に言えば、オフショア法人の設立から銀行口座開設までを最短で実現させてくれる設立代行業者や、弁護士、整理士などのサポートがないと実現できないかもしれません。このような専門家は、例えば、CRSに加盟していない国や地域の銀行の存在を情報として持っています。日本で一度は失敗したかもしれない企業や個人が、海外でオフショア法人を設立、発展させ、また日本で活躍する、そんなストーリーを専門家のサポートを頼りがあって実現します。